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平成29年度 大学院入学式 学長告辞

2017年4月21日更新

平成29年度 入学式 学長告辞

298名の新入生の皆さま、ご入学おめでとうございます。お茶の水女子大学の教職員を代表して、心からお祝い申し上げます。
ご家族やご関係の皆様にも、謹んでご入学をお祝い申し上げます。お嬢様方の晴れの日を、共にお祝いできますこと、大変嬉しく思って居ります。
また、御来賓の皆様には、お忙しい中、ご臨席を賜りまして、まことに有難うございます。今後共、学問?研究を志す大学院生の将来を、温かくお見守り下さいますよう、お願い申し上げます。

今年度は、大学院前期課程および後期課程に、中国、韓国、台湾、ベトナム、モンゴル、タイ、シンガポール、エジプト、アフガニスタン、英国の10カ国から45名の留学生の方々をお迎えしました。日本の国旗と共に、留学生の方々のお国の国旗を掲げて、皆さまのご入学を心から歓迎します。
毎年、本学で学問?研究の道を究めたいとの意欲を持って、留学してきて下さる皆さまには、故国を遠く離れた日本で、学問?研究を追究すると共に、日本の文化に接し、また、友人たちをはじめとする多くの人々との触れ合いの中で、異なった生活や考え方、価値観の違いなどを学んで頂きたいと思います。そして、それらを大いに楽しんで頂きたいと思います。
日本で生まれ育った皆さまも、留学生の方々と様々な機会を通じて親しく交流し、友情を育んで下さい。多様で豊かな人々や文化の魅力に触れ、その経験を通して、大きく成長して頂きたいと願っています。

皆さまもご存知の様に、お茶の水女子大学の歴史は、日本初の女性のための官立高等教育機関「東京女子師範学校」として1875年に「御茶ノ水」の地に設立されたことに始まります。その後140年余りの歴史の中で、数多くの優れた女性教育者や研究者を輩出して来ました。1949年に新制大学としての「お茶の水女子大学」が発足してから、1963年に大学院修士課程が、そして1976年に博士課程が設置されました。いずれも、女子大学に設置された日本初の大学院課程です。
創立以来、本学には「教養と専門性を備えた女性リーダーの育成」が期待され、数多くの優れた卒業生を世に送り出して来ました。そして、女性の自立と社会的活躍を支え、社会の知的基盤の充実に寄与して来ました。

女性が学術?研究に従事することさえ難しい時代から、本学の卒業生は、国の内外で活躍しています。わが国の女性科学者として初の女性理学博士となった保井コノさんは、様々な困難に遭遇しながらも、国の内外で研鑽を重ね、本学の教授として後進の教育に貢献された方ですし、当時、女性に門戸を開かなかった帝国大学に女性として初めて入学し、後に理学博士となった黒田チカさんも、多くの困難を乗り越えて研究を推進し、本学の教授として若い女性たちの育成に努められた方です。また、第二次世界大戦前後の極めて困難な時期に、フランスで学位を取得されて国際的な原子物理学者として活躍した湯浅年子さんは、本学の教授としても活躍され、日本とフランスの架け橋として、研究者交流のために尽力されました。女性を受け入れなかった帝国大学で無給の副手として研究を続け、初の女性農学博士となって、後進の指導に努められた辻村みちよさん、豊富な海外留学の経験を経てシャム国の教育に尽力され、その後東京女子大学の2代目学長を務められた安井てつさん、アメリカ留学の経験を活かして女性の権利向上を広く訴えると共に、日中教育文化交流に尽力され、さらに桜美林学園の創設発展に貢献された小泉郁子さんなどを先駆けとして、多くの科学者?研究者、教育者が育ち、国の内外で活躍しています。
本学では、今お話した5名の大先輩たちのお名前を冠した「お茶の水大学賞」を創設し、それぞれの分野で頑張っている本学出身の研究者の方々を顕彰しています。昨年度は、保井コノ賞は名古屋大学准教授の佐々木成江さんと筑波大学助教の柴小菊さん、辻村みちよ賞は本学名誉教授の島田淳子さん、小泉郁子賞は東京国立博物館室長の小山弓弦葉さん、黒田チカ賞は国立情報学研究所特任助教の対馬かなえさんと群馬工業高等専門学校助教の工藤まゆみさん、そして湯浅年子賞は、理化学研究所ユニットリーダーの望月優子さんが受賞されました。どの方も、とても素敵な研究者です。
本日入学された皆さまの中からも、きっと、これらの賞を受賞される方が出て下さることでしょう。

大学院では、深い専門性を持った領域で、研鑽を積むことになります。そこでは、先人が構築した概念や論理、あるいは手法を学んで使いこなすことに留まらず、自分自身の論理や概念、手法などを新たに創造し、独自性のある学術の発展を生み出していくことを目指します。既に踏みならされた安易な道を選ぶのではなく、まだ誰も踏み入ったことのない新しい道を選択する勇気、誰も知らないことにチャレンジする勇気を持って頂きたいと思います。それは心躍る「知的探究」になるはずです。多様な人たちが切磋琢磨する環境で知的探究を楽しみ、それぞれの資質?能力を高めつつ、新しい活力や創造力を生み出して頂きたいと思います。
さらに、本学の大学院では、専門性を深めると同時に、分野横断的な教育と研究を進め、時代をリードする学術研究や公教育を担う人材育成を目指します。同時に、日本と世界の様々な課題に取り組み、課題解決に向けて貢献することの出来る人材を育てることを目標としています。そのために、本学独自の多様な教育?研究のプログラムの構築や、新たな学術的価値の創造を目指しています。

毎年、修士課程からは約250名、博士課程からは約60名の修了者が社会に巣立っていきます。修了生の就職先は、企業やその研究所、初等?中等学校、大学、国?公立の研究所、府省や県庁?市役所等の行政機関、裁判所などの司法機関、テレビ局や新聞社などの報道機関、独立行政法人や社会福祉法人などと様々ですが、修了生たちはそれぞれに多様な場で活躍し、周囲からの信頼も集めて、後に続く女性たちのために道を拓いてくれています。また、海外の大学や研究所等に留学したり、博士研究員として研鑽の場を求めたりして、数多くの修了生が、さらに上を目指して自己研鑽に励んでいます。これからは、国際機関や海外の大学や研究所、企業などで活躍する人たちが益々増えることでしょう。

本日入学される皆さまは、それぞれに将来への夢を描いていらっしゃるだろうと思います。研究者としての道を希望する方も、専門的な能力を身につけて社会に出て行こうと考えている方もいらっしゃるでしょう。皆さまが将来どんな道に進むとしても、失敗にめげることのない強い心を持って、それぞれの研究テーマに向き合って頂きたいと思います。
学問?研究における成功の喜びに到達するまでには、何度も失敗を繰り返すことがあるかも知れません。先行研究を調査?分析し、何度も実験、観察、観測などを繰り返し、正確なデータを取ってそれらを整理?分析して、そこから、自分自身の言葉で、概念や論理?論証を積み重ねるといった、着実で誠実な研究姿勢が、創造的な研究成果に繋がります。我慢強く取り組んだ末に得られる成果は、何物にも代え難い喜びとなるでしょう。ただ、学問?研究の成果は、必ずしもすぐに学界や社会に受け入れられるとは限りません。例えば、学界や社会で既に支配的な説となっている学説などに挑戦するような場合には、得られた成果が受け入れられないことが多いものです。しかし、通説を覆すような発見をしたり、新たな理論を構築したりできることが、学問の醍醐味だと言えます。そして、それを成功に導くのが、着実で誠実な研究姿勢です。

皆さまが、お茶の水女子大学で充実した学びを経験され、誠実な研究生活を過ごされること、そして、そこから生み出される自信と誇りに基づいて、学問の発展のために貢献して下さることを願っています。
さらには、現在、世界に溢れている、貧困、食糧難、環境破壊、エネルギー資源の枯渇、安全と平和の危機など、様々な課題に向き合って探究を続け、周囲の人々に、未来への希望と勇気を呼び起こすような活躍をして下さることを心から期待しています。

心と体の健康を大切になさって、学園生活を思い切り楽しんで下さい。これからの皆さまの実り多い研究生活を心からお祈りして、お祝いの言葉を結びます。
ご入学、まことにおめでとうございます。

2017年4月4日
お茶の水女子大学長
室伏 きみ子